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ミニマル国の人々②

  • the other one
  • 2016年11月7日
  • 読了時間: 3分

筆者の偏見と主観で考えるミニマル・ミュージックの概念は、ワンループの質にあると思っている。

ただフレーズを反復させるというだけではなく、抑制され、先鋭化されたものでないといけない。前述した、エアロスミスとランDMCのあの曲はヒップホップクラシックではあるが、ミニマル・ミュージックではない。

その根拠にロックマナーというものがある。Aメロ、サビという存在だ。

WALK THIS WAYはもろにロックマナーを踏襲している。というか、エアロスミスの曲そのままなのだ。エアロスミスは素晴らしいリフを多く創出しているバンドだが、王道のロックマナーの上に存在している。

ワンループのリフで押しきるAC/DCとはここが違う。リフの種類も違う。AC/DCのリフは極めてシンプルかつ先鋭的だが、エアロスミスのそれは抑揚があり、装飾が施されていて、ミニマルというよりは歌もの的なのである。筆者の考えるミニマルとはロックマナーを廃した音楽なのだと解釈しているので、その違いがある。

ミニマル・ミュージックは諸刃の剣でもある。極力無駄を省いた音の反復という一種のループ・ミュージックは単純化された弊害からか、ひどくつまらないものにもなる。昨今のミニマル・ミュージックはその殆どがテクノやハウス、ヒップホップなどのクラブミュージックに伝播されているが、単調で欠伸製造曲あるいは睡眠導入曲なるものも多いのだ。

基本、同じフレーズが反復されるのだから音のチョイスを間違えると惨憺たる結果になるのは目に見えている。

一方で、反復が中毒になる麻薬的な効果をもたらすのも、またミニマル・ミュージックの魅力のひとつでもある。

その一つが、DR. DREのヒップホップ史上燦然と輝く名盤「2001」だろう。圧倒的な音質と無駄な音をそぎ落とし先鋭化された音の塊を丁寧にミニマル制御した中毒性の高いフレーズがループされたトラック群は圧巻だ。ヒップホップを一つ上のステージへと押し上げたモンスターアルバムであると共に、ミニマル・ミュージックの金字塔でもある。

この傑作アルバムには功労者が存在している。客演したスヌープやエミネムなどのスターも花を添えたが、楽曲の根底を支えたのは、スコット・ストーチの手腕によるものが大きい。

スコット・ストーチはキーボード奏者であり、プロデューサーである。Dreの作品のピアノは彼が任されていることが多い。THE ROOTSも絶大なる信頼を寄せているから、その実力が伺えるだろう。キーボード巧者であり、ヒップホップというものを理解している彼はミニマル・ミュージックというものも同時に理解していたに違いない。

SCOTT STORCH - Top 25 BEST Beats / Produced Songs EVER Made

*このブログは筆者の完全なる主観と思いつきで綴っております。

 
 
 

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